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平成24年度事業計画

基本方針

 平成23年度、テレビ放送が完全デジタル化され、放送と通信の融合が一段と進みました。また、昨年3月に発生した東日本大震災は、放送の役割と重要性を改めて認識させるものとなりました。先を見通せない不確実な時代の中では、公平・公正で信頼できる情報や多様で質の高い番組を提供し視聴者の期待にこたえていくことが求められ、放送文化を担う人材の育成はますます重要な課題になっています。

 財団法人NHK放送研修センター(略称 NHK-CTI注)は、公共放送NHKの職員研修を事業の基本に据え、放送界の人材育成と「話しことば」の事業に積極的に取り組みます。

 NHK職員研修では、「平成24~26年度NHK経営計画」の初年度として、公共放送の原点に立ち返り責任と役割を果たしていく人材を育てるため、公共放送の担い手として必要不可欠な倫理観、コンプライアンス意識の醸成やマネジメント力の強化など、重点項目への取り組みを推し進めます。NHKの関連団体についても放送倫理など公共放送としての業務知識を共有するための研修などを実施します。

 民間放送局やケーブルテレビ局向けの研修・セミナーや、国際協力機構(JICA)などから委託される海外の放送局向けの研修等の内容充実に努め、広く放送界全体の人材育成に努めます。

 アナウンサーのグループである日本語センターは、ことばコミュニケーション技術等の一般への普及事業に取り組みます。日本語センタースクール、話しことばの通信添削、朗読講座のほか、教育界、企業・団体等の要請に応えて、時代のニーズに適応した研修の充実を図ります。
 また、「人にやさしい放送」をめざすNHKの生字幕放送や解説放送の充実にも協力します。

 放送界の人材育成を担うNHK-CTIは、NHKとともに培ってきた、放送と研修のノウハウを活かしたさまざまな事業を今後も実施し、社会に貢献する財団運営を目指します。なお、公益法人制度改革への対応は、一般財団法人への移行認可に向けて準備を進めていきます。

(注) CTI (Communications Training Institute)


事業運営計画

Ⅰ 放送界の人材育成に向けて

1放送事業者等向け研修

(1)NHK職員向け研修

 NHKは、昨年10月、「平成24~26年度 NHK経営計画」を発表しました。「信頼される公共放送として、放送機能の強化と放送・サービスのさらなる充実を図り、豊かで安心できる社会の実現と新しい時代の文化の創造に貢献します」との基本方針のもと、「公共」「信頼」「創造・未来」「改革・活力」の4つの重点目標が掲げられています。
 新しい経営計画の初年度にあたる平成24年度は、こうした考え方を踏まえ、高い使命感と専門性を兼ね備えた職員を育成するため、以下の重点項目に基づいて人材育成を進めます。

1 公共放送を支えるプロフェッショナル、ジャーナリストの育成

大きく変化する時代の中でNHKが果たすべき使命と経営課題の達成に向け、多様なプログラムを構築して、各職種・各分野の「プロフェッショナル、ジャーナリスト」としての専門能力を伸張します。

2 組織の“要”となるマネジメント層の能力強化

トップからミドル層まで、役割や立場に応じたマネジメント力と職場・組織を束ねけん引できるリーダーシップの育成に向け、カリキュラムの内容を充実強化します。

3 他企業・異業種、関連団体、協会内の他部門との交流による視野拡張

他企業・異業種との合同研修や外部講師の積極的登用、関連団体との交流などを通じて、協会全体、NHKグループ全体、さらには社会全体に視野を広げて自分の業務や職場を改革することのできる人材を育てます。

4 NHKグループ全体の人材育成

多様で質の高い公共放送サービスを視聴者に届け続けるために、NHKグループ全体の組織力・ソフト開発力の強化など、グループの総合力の向上に資する人材育成施策に取り組んでいきます。

4 コンプライアンス意識の醸成

公共放送人・ジャーナリストとして持つべき高い志と倫理観をあらためて徹底し、コンプライアンスを日常業務の中に落とし込み、自ら主体的に実践することができるよう取り組みを強化していきます。

<平成24年度NHK職員研修> ※e-ラーニング等を除く。( )内は23年度
研修数 109研修(97研修) のべ日数 447日(441日)
回 数 167回(158回) 受講者数 5,200人(5,100人)
(2)NHK関連団体向け研修

 関連団体は、グループ経営の最適化を目指して、NHKの業務を補完・支援し、NHKと共に視聴者からの信頼に応え、豊かな放送文化の創造に寄与することを役割としています。このため、コンプライアンスなどNHKグループの一員としての自覚を促すとともに、NHKグループ全体のソフト開発力、組織力強化を図る研修を積極的に実施します。平成24年度は、「関連団体中堅職員コンプライアンス研修」「関連団体ミドルマネジメントセミナー」を新設し、年間8件の研修・セミナーを実施していきます。さらに、関連団体職員等にこれまで以上にNHK職員研修への積極的な参加を呼びかけるとともに、関連各社の人材育成計画に沿った個別研修の要請にも迅速・的確に対応していきます。

(3)民間放送局向け研修

 昭和32(1957)年以来開催している(社)日本民間放送連盟(民放連)主催の若手技術者向け「テレビ技術研修会」、および平成15(2003)年から始まったNHKと民放連共催の報道・番組部門の若い層を対象とする「放送人基礎研修」を引き続き実施します。
 なお、「放送人基礎研修」については、「10年目記念研修」も開催します。
 『放送技術セミナー』として、テレビ放送の原理や多様な番組制作技術、最新のデジタル技術、送信技術など、幅広い分野の専門知識・技能の習得を図る研修を実施し、放送技術にかかわるノウハウを広く社会還元します。
 平成24年度は、「初歩のテレビ技術」、「番組制作技術の基礎」、「照明技術」、「オーディオ技術入門」、「デジタル音声技術」、「ハイビジョン技術基礎」、「ハイビジョンVFX入門」、「めざせ!デジタルVE技術」、「ノンリニア編集技術」、「ファイルベース時代の制作技術」、「デジタル放送技術」、「デジタル放送と測定技術」、「送信技術」、「第一級陸上技術無線技術士国家試験(直前対策)」の14セミナーを実施します。

(4)海外放送局向け研修

 海外放送局向けの研修は、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの委託により、途上国の放送局向けに実施するもので、NHK時代を含めて50年を越える歴史があります。
 平成24年度は、技術者を対象に「地上デジタル放送技術」研修を実施し、デジタル放送の概要とサービスの特徴、デジタル技術理論と最新技術動向、デジタル機器活用法などを学んでもらい、デジタル放送技術への対応力向上を図ります。
 また、各国の放送主管庁幹部および放送局幹部を対象に「放送幹部セミナー」を実施し、公共放送の役割、地上テレビ放送のデジタル化、通信と放送の融合など放送事業の多様化、政策・法令の整備動向など、日本の現状についての理解を深めてもらい、各国の取り組みに活かしていただくことを目指します。
 このほか、海外放送局等からの個別に要請される研修も積極的に実施します。

(5)ケーブルテレビ局向け研修

 放送が完全デジタル時代に移行したことにより、通信との融合がますます加速し、競争が激化していく中で、(社)日本ケーブルテレビ連盟、(社)日本CATV技術協会と連携した長期的な展望に基づいた研修を行っていきます。
 ケーブルテレビ研修は、平成23年度に引き続き、『番組制作コース』と『伝送技術コース』の2つのコースを設けて実施していきます。
 『番組制作コース』では、新入社員や初心者を対象に撮影と編集、番組制作、番組制作技術の研修を設定するほか、「放送人必須セミナー」「ディレクター応用力強化講座」をはじめ災害放送、ニュース取材、アナウンスなどの研修を実施します。また、放送の完全デジタル化による競争に勝ち抜くために、コミュニティチャンネルを優位性のある武器にすべく、ケーブルテレビ局の番組制作力の底上げを図る「番組制作力養成研修」、「映像資産活用」の研修も実施します。
 『伝送技術コース』では、新入社員のための「伝送技術」を入門編として実施します。このほか、専門研修として、FTTH伝送技術の研修をさらに充実させて、「初めての方対象」、「CATV会社の技術者対象」、「CATV工事事業者対象」と3回に分けて研修を実施します。また、デジタル測定技術の研修も、実習を中心にさらなる充実を図った研修とします。
 さらに、顧客対応のスタッフを対象とした「顧客対応スキルアップ研修」、営業活動に資する「何がナンでも加入促進研修」なども引き続き実施するとともにNHKと日本ケーブルテレビ連盟の地方支部や各県のケーブルテレビ協議会と連携した「制作力向上セミナー」を地方で開催するほか、ケーブルテレビショーに変わるケーブルコンベンションで「経営セミナー」(東京開催)を実施します。
 なお、「番組制作」「伝送技術」のさまざまな研修についての、個別事業者からの要請にも引き続き積極的に応えていきます。
 また、アナウンサーを対象にした研修も放送研修センターで年2回実施するほか、各局に出向いて行う研修の要請にも応えていきます。

2 放送関連事業者等向け研修

(1)制作プロダクション向け研修

 「初歩のテレビ技術」「番組制作技術の基礎」「ノンリニア編集技術」などの『放送技術セミナー』は、民間放送局向けとともに制作プロダクション向けとしても位置付けて、番組制作技術の基礎や効果的な番組制作技術のノウハウを習得する研修として実施します。
 また、(社)全国放送関連派遣事業協会に加盟する制作プロダクション向けに、「番組制作スタッフ基礎コース研修」「TV制作技術基礎コース研修」を実施します。

(2)放送業務支援スタッフ向け研修

 地域放送の充実に伴い、NHK地域放送局では外部スタッフの活用が増えています。放送現場を支える「制作スタッフ」向けには、ニュース・お知らせ原稿の書き方、取材、撮影などの制作能力の向上と放送倫理についての研修を実施します。
 各放送局の「キャスター・リポーター」向けにはニュースリード、リポート制作、中継、インタビューなどアナウンス技術の向上をめざす研修を実施します。
 このほか、交通情報のキャスターを対象に、分かりやすく情報を伝える技術を指導する「NHKトーク講座」を開催します。

3 放送界を志す若い人達向けの研修

(1)「放送人養成塾」

 デジタル放送時代の担い手として期待される大学生や若い社会人に、テレビジャーナリズムの原点や基本的知識、そしてプロの「志」などを伝えるため、「ドキュメンタリー」と「ニュース取材」の二つの課程を開設し、NHKの第一線のプロデューサー・記者・カメラマンや研修センターの講師などが指導にあたります。

(2)大学生セミナー

 将来放送の現場で働きたいという学生を対象にした「アナウンストレーニング」「スポーツ実況」のほか、一般企業の就職活動にも役立つ「面接トレーニング」の3つが柱です。24年度も春、夏、秋、冬と季節ごとに東京でセミナーを開くほか、大阪などでも開催します。これらのセミナーから公共放送の担い手が生まれ、人材の確保と育成に結びついています。

Ⅱ ことばコミュニケーション技術等の一般への普及に向けて

 放送で培った「ことば」のノウハウを広く社会に還元することを目的にさまざまな研修やセミナーを実施し、わかりやすく的確で豊かなことばの社会一般への普及に努めます。
 活動の柱は「ことばセミナー・講座」「教育現場のことばコミュニケーション事業」「企業・団体向けことばコミュニケーション研修」「放送番組のアナウンス業務」の4つです。
 内容の充実や新しい分野の開発を図り、社会の要請に即した「ことばコミュニケーション技術」を追究します。

1 ことばセミナー・講座等の開設

(1)日本語センタースクール

 アナウンサーをめざす学生を中心にトレーニングする「最新アナウンスカレッジ」、朗読やナレーションの技能向上をめざす「朗読・ナレーション」、人前で話す力を向上させる「話しことば専科」のほか、面接や司会、共通語などの季節コースを、渋谷と新橋の教室で開設して、受講者の多様な要望に応えます。24年度は画面を使ってわかりやすく説明する力を向上させる「スライドプレゼンテーション」など時代の要請に応える新しい講座をはじめます。

(2)話しことば通信添削講座

 全国どこにいても受講できる「話しことば通信添削講座」は朗読と話しことばを中心にこれまで10万人以上が学んできました。23年度も900人近い受講者がありましたが、カセットテープによる添削が時代にあわなくなってきていることから、24年度は新たな添削方式を試行するほか、25年度に向けて魅力ある新しい講座の開発にも取り組みます。「朗読部門」では引き続き夏と冬の2回受講の成果を確かめることができるコンテストを実施します。

(3)「朗読」事業

 「全国巡回朗読セミナー」を春と秋に全国各地で開催します。23年度は春31都市45会場、秋81都市125会場で、のべ2426人が受講しました。24年度は新たな都市での開催も計画しています。また11月には受講者の日ごろの研さんの成果を発表する「朗読フォーラム」を開催するほか、あわせて全国の朗読グループのリーダーを育成する研修会を実施します。

(4)先生のためのことばセミナー

 平成3年から実施してきた「先生のためのことばセミナー」はこれまでのべ3万人を超える受講者がありました。24年度も文部科学省の後援を得て小学校、中学校、高等学校における「言語活動の充実」を支援します。新しい学習指導要領が23年度小学校で全面実施されたのに続いて、24年度は中学校でも全面実施されます。春、夏、冬、東京をはじめ大阪、名古屋、札幌などで「先生のためのことばセミナー」を開催し「話す」「聞く」「読む」それに「話し合い」などのテーマで実践的な研修を行います。

(5)実践ビジネスセミナー

 コースは、ビジネスに欠かせない説明や報告の技術を学ぶ「実践ビジネストーク」、印象に残るスピーチをめざす「実践スピーチ」、映像を使った説明力の向上をめざす「実践プレゼンテーション」、社内の研修担当者を対象に効果的な指導方法を学ぶ「実践インストラクター」の4つのセミナーを開催します。どのコースも課題実習をビデオに収録して、ひとりひとりにきめ細かく指導するのが特徴です。受講者も年々増えていることから24年度は土曜日を中心に開催数を増やして、要請に応えます。

(6)その他

 平成16年度から放送研修センターがある地元の世田谷区で開く朗読講座「豊かなことばの世界」は23年度受講者が140人となりました。共催している「せたがや文化財団」の施設を利用し、地域のひとびとを中心に好評を得ています。
 引き続き朗読発表会なども開催して地元との交流を続けていきます。

2 大学等学校対象のことばコミュニケーション事業

 大学や高等学校、専門学校で「ことばコミュニケーション」の通年授業や集中講義をおよそ20校で実施します。社会に出る前に、わかりやすいプレゼンテーションや敬語、豊かな表現を身につけ、ことばの大切さを再認識させたいという学校側の要請に応えるもので、就職の面接にも役立つ内容も盛り込みます。
 また、大学院大学の学生を対象に、メディアを意識した情報発信に必要な知識、スキルを身につけてもらう「メディアトレーニング研修」を実施します。

3 企業・団体向けことばコミュニケーション研修

 24年度も、企業・団体からの要請に応えて新入社員から幹部クラスまで、日本語センターが長年培ってきたノウハウを活かしたことばコミュニケーション研修を実施します。23年度は企業・団体あわせて120件の研修を実施しました。引き続きビジネスの現場で強く求められているプレゼンテーションやコミュニケーションの力を向上させる研修など個別のニーズに応じた研修を行います。

4 放送番組のアナウンス等業務

(1)放送番組におけるアナウンス業務

 放送を通じて、わかりやすく的確で豊かな「話しことば」の社会への普及をめざし、24年度もNHKのテレビ、ラジオのアナウンス業務を受託します。受託番組は朗読のスキルを活かした「ラジオ文芸館」、ことばコミュニケーションについて学ぶラジオ番組「ことば力アップ」などを中心に、アナウンサーとして蓄積した技術を活かすものです。

(2)生字幕放送と解説放送

 生字幕放送と解説放送を引き続き担当し「人にやさしい放送」に寄与します。日本語センターが担当する生字幕放送は、実況アナウンサーや解説者、スタジオ番組の司会者や出演者が話した内容を「リスピーク」し、その内容をテレビ画面に字幕として表示するもので、耳の不自由な人たちだけでなく、高齢者からも好評を得ています。24年度はさらに「土曜スタジオパーク」午前10時台の「ニュース解説」に新たに生字幕が付与されます。
 解説放送では、目の不自由な方がテレビを楽しめるよう画面に映っているものを副音声で解説します。24年度もEテレの新番組「ハートネットTV」が中心です。

(3)教育貢献

 平成20年度からアナウンス室が実施している「朗読ひろば」の教育貢献事業で児童・生徒の朗読指導にあたります。
 また、小中学校の児童・生徒の「生きる力」を育むために、4年前から東京台東区の浅草中学校で授業の実践を行うとともに、先生たちと指導方法を共有してきました。24年度は台東区の谷中小学校などと連携を取りながら研究に取り組んでいきます。

Ⅲ その他

1 外部研修等への支援・協力

企業・団体や自治体の要請に応じ、イベントや会議の司会、コンテストの審査などで社会に貢献します。

2 調査・研究等

  • 東日本大震災の影響もあって23年度実施を延期した「ビジネス・コミュニケーション調査」を実施します。前回の調査から6年ぶりのもので、社会や雇用環境が大きく変化するなかで、各企業がコミュニケーションの現状をどうとらえ、どんな取り組みをしているのか、実態を把握し、今後の事業開発に活かすとともに、日本語センターのPRを図ります。
  • 先生を対象としたセミナーで実施するアンケートを通じて、日本語センターに対する教育現場のニーズを把握し、それを今後の研修内容に反映させていきます。
  • 「通信添削」事業では、IT環境の変化にあわせてカセットに加え24年度インターネットやICレコーダーなども活用した新しい添削方式を試行し、25年度からの導入をめざします。

3 研修環境の整備・内部統制の強化

  • デジタル時代に対応した研修機材の整備など、研修受講環境の改善・充実を進めます。
  • コンプライアンスをはじめリスクマネジメントの推進を図るとともに、IT環境整備による安定的なシステム運用、情報セキュリティの確保など、内部統制につながる諸施策の充実・推進を図ります。

4 公益法人制度改革等への対応

 平成20年12月に始まった国の公益法人制度改革への対応は、現在行っている事業を継続する一般財団法人への移行について、認可申請の準備を進め、平成25年度からの移行の実現を図ります。